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セミナーレポート:Z世代向けマーケの新施策! 推し活やメタバースを組み合わせたデジタルファンマーケティングの始め方

近年、Z世代と言われる若い世代に向けたマーケティング活動が注目を集めています。

Z世代は「推し」に対する応援購買のカルチャーが強いことや、ゲームを中心にメタバースなどのデジタル空間上での活動時間が増えているといった特徴があり、マーケティング施策を検討していく上でもこうした特性を考慮して方針を検討していく必要があります。

そんな、推し活やメタバースを組み合わせた「デジタルファンマーケティング」について、日本最大級推し活メディア「Oshicoco」を運営する株式会社Oshicocoと、ファンマーケティング向けメタバース「SYNMN」を運営する株式会社Synamonがウェビナーを開催しました。

本記事では、推し活やメタバースを組み合わせた「デジタルファンマーケティング」の始め方やポイントを知ることができます。

特に、Z世代向けのマーケティングに興味がある方、推し活とコラボしたマーケティング施策を検討中の方、メタバースなどデジタル技術を活用したファンマーケティングに興味がある方を対象とし、当日は30名程度にご参加いただきました。

QAではマーケティング担当者のリアルな質問が飛び交い、盛況となりました。


あなたの推しはいますか?

オープニングとして実施されたアンケートでは、参加者のうち「推しがいる」人は50%、「推しはいない」人は28%、「以前は推しがいたが今はいない」人は22%という結果になりました。

「ここ最近、推しという言葉が一般化してきているように思いますね」(武井)



推し活が一般化してきた背景として2つのことが考えられると多田さんは語ります。

「SNSで手軽に情報に触れられるようになったことで推し活へのハードルが今まで以上に低くなっています。そして100均などで手軽に推し活グッズが入手できるようになったことで多くの人が推し活をするようになったと考えられます」(多田)


なにを推しているかよりも、どう推したいのかを理解することが重要

多田さんは10年以上のオタク歴があり、今も推し活を楽しんでいるといいます。

そんな多田さんが代表を務める株式会社oshicocoでは、推し活を「自分の推しを応援したり、推しの為に自分磨きや創作活動をすること」と定義しています。

推しであるキャラクターや作品そのものはもちろんのこと、推しの為のあらゆる活動として消費が広がっていくことが推し活の特徴です。


一方通行から双方向、そして共創へと移り行くマーケティングコミュニケーション

株式会社Syamonではメタバースを「3DCG技術でバーチャルな世界を構築し、人々の交流や経済活動を含めた様々な活動が出来る仕組みと定義しています。

マスマーケティングの時代では、一方通行の関係であったブランドと消費者は、インターネットの普及により、双方向コミュニケーションの時代に突入しました。

そして現在は、さらなる没入体験や共創する関係性が求められています。

そんな中でメタバースは、「エリアの壁を超える」、「ブランドの世界観を作りこむ」、「アバターでユーザーの本音を引き出す」点においてリアルな場以上の価値を発揮します。


最近のメタバース活用事例としては、例えばNIKEは、ナイキの服や靴を着ると走る速さが2倍になるなど、スポーツブランドとしての世界観やミッションをユーザーが遊びながら体験できるメタバース空間を提供しています。


ファンの熱量が特に高いK-POPのグループであるITZYでは、髪型からネイルまで細部にこだわって全身をITZY仕様にできるアバターを提供することで、コアファンにより没入感のある体験を提供しています。


米国大手のスーパーマーケットであるウォルマートは、小売業のデジタル活用=ECという固定概念にとらわれず、Z世代に人気のブランドとコラボ、遊べる空間を提供し、Z世代マーケティングに振り切った内容となっています。


デジタルファンマーケティングで効果を発揮するには

「推し活やSNS活用などのデジタルファンマーケティングが効果を発揮しやすい業界として、UGCがダイレクトに集客や売り上げにつながる業界が挙げられます。例えば、飲食、ホテル、カラオケなどです。」(多田)


「メタバースでいうとエンタメ系はもちろん、スポーツチームとの相性も良いです。マンチェスターシティのスタジアムに人生行ける回数は限られていますよね。分かりやすく場所が求められているものは効果を発揮しやすいです。」(武井)


では、デジタルファンマーケティングに取り組みたいと思ったとき、最初の一歩として考えられるのは何でしょうか。

「Oshicocoには推し活をしている人が7万人も集まっています。アンケートなどから市場調査をしっかりとした上で、消費者の立場に立って発信することが第一歩だと思います。」(多田)

「メタバース活用でターゲットに刺さらない例は、企業の思い込みで空間を作ってしまうこと。ファンの求めるものをヒアリングすることが最も重要だと考えています。」(武井)


メタバースイベントはとっつきにくい??

リアルイベントとメタバースイベントの使い分けについては、どちらかではなくグラデーションのようになっていくのではないかと武井さんは語ります。

「会社のスタンスでも異なってきますが、リアルイベントが完全になくなることはないと思っています。リアルイベントを補完するような形でバーチャル空間が活用されていきます。特に地理的な障壁がないことはメタバースの大きなメリットです。」(武井)

いくら地理的な制約はないといえ、メタバースの空間に入るハードルはまだまだ高い。

「ファンがライブのチケットを入手する為に奔走するのと似ています。面倒を超えてでも来てくれるファンを集めなければコミュニティを維持していくことは難しいです。」(武井)

メタバースというと、どう集客するかにフォーカスしがちですが、熱量の高いファンが集まるコンテンツをどう作るかの方が重要です。

「aespaという韓国アイドルは、メンバー4人に対になるアバターがいて、ファンは当たり前のようにそのアバターとも触れ合っています。こういった場合には、もしメタバース空間上を活用したいとなった時でも、ファンは何の違和感もなく受け入れてくれるでしょう。」(多田)


令和の神棚、トレカケースデコ

「多田さんが最近注目している推し活を教えてください。」(武井)

トレカケースデコですね、私自身もはまっています。」(多田)

トレカケースデコは、推しのトレーディングカードが収納するケースをデコレーションしたものです。再ブームである平成ギャル文化を思わせるとにかく派手なデザインが特徴です。

「推し活グッズでは今一番人気が高いです。推しは神様みたいなものなので、神棚のように推しを飾りたいという気持ちで使っています。」(多田)


選択肢の一つだからこそ、世の中に広げていきたい

推し活もメタバースもバズワードではなく、当たり前の選択肢の一つになると両者は語ります。

推し活は恋愛や結婚のように、だれにとっても当たり前の選択肢の一つになっていくと考えています。それが人々の選択肢を広げ、よりよい社会を実現する要素の一つとなっていくのではないでしょうか。」(多田)

メタバースも同様で、目的に対しての一つの手段として確立されていってほしいと思っています、そのためには様々な企業とタッグを組んで、世の中に面白い事例を増やしていきたいです。」(武井)


打越まどか
打越まどか
新卒でグローバルコンサルティングファームに入社し、主に業務改革案件に従事。2022年よりSynamonにJoinし、社長室で事業のリサーチや企画推進を担当。

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